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天然ゴムと合成ゴムの違いを解説!

  • 豆知識コラム

2026.02.02

天然ゴムと合成ゴムの違いを徹底解説:特徴・用途・環境への影響まで

ゴムは、わたしたちの暮らしを支える大切な素材です。車のタイヤから日用品、工業用部品まで、さまざまな製品に使われています。そんな中でよく耳にするのが、「天然ゴム」と「合成ゴム」。この2つには、どのような違いがあるのでしょうか?

天然ゴムは、ゴムの木から採れる樹液をもとに作られる自然由来のゴム。一方、合成ゴムは、石油資源を原料とし、化学反応を利用して人工的に作られたものです。どちらも見た目は似ていますが、原料や性質、さらには用途にいたるまで、違いは多岐にわたります。

この記事では、天然ゴムと合成ゴムの特徴や用途の違い、さらには環境への影響についてもわかりやすく解説していきます。目的に合わせてゴムを正しく選ぶことができるよう、基礎知識から実用情報までを丁寧にご紹介。ゴムに興味のある方、ものづくりに携わる方、環境への配慮を考える方へ向けた情報満載です。

天然ゴムと合成ゴムの違いとは?

天然ゴムと合成ゴムは、似ているようでいて、その原料も生産方法もまったく異なります。それぞれの特徴を理解することで、ゴム製品の選び方がより明確になります。

まず、天然ゴムは「ゴムの木」から採取される樹液(ラテックス)を原料としています。樹液を凝固させて乾燥させることで、柔らかく弾力のある天然ゴムが生まれます。ゴムの木は主に東南アジア地域で栽培されており、自然資源としての役割も担っています。

一方、合成ゴムは石油をもとに、化学的なプロセスを経て製造される人工素材です。代表的な合成ゴムには、NBR(ニトリルゴム)やEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)などがあり、それぞれに異なる特性があります。合成ゴムは、必要な性質に応じて分子構造を調整できるのが強みです。

天然ゴムは「自然の恵み」、合成ゴムは「科学の力」。このようにして、ゴムには2つの大きな系統があるのです。

原料と生産方法の比較

天然ゴムと合成ゴムの最大の違いは、どこから来るか、そしてどう作られるかにあります。

天然ゴム

原料:ゴムの木(ヘベア・ブラジリエンシス)の樹液

採取方法:木の表面に切れ込みを入れ、白い樹液を集める

加工方法:ラテックスを凝固させて乾燥し、ローラーで圧縮

特性:高い弾性と柔軟性、自然由来の再生可能資源

合成ゴム

原料:ナフサなどの石油化学製品

製造方法:モノマーを化学反応させて重合、加硫して仕上げ

種類:NBREPDMSBRなど、多様な性能を持つ製品が存在

特性:耐油性・耐熱性・耐摩耗性などに優れる

また、合成ゴムは大量生産が可能であり、品質も均一に保ちやすいため、自動車や工業部品といった安定した性能が求められる分野において重宝されています。

天然ゴムは自然との共存、合成ゴムは機能性と量産性。この対比は、まさに「自然」対「技術」の構図とも言えるでしょう。

天然ゴムと合成ゴムの主な特徴と特性

天然ゴムと合成ゴムは、原料や製法だけでなく、特徴や特性にもはっきりとした違いがあります。これらの違いを知ることは、用途に応じてどちらを選ぶべきか判断するうえで非常に大切です。

天然ゴムは、なんといってもその弾力性と柔軟性が魅力。機械的強度も高く、引っ張ってもよく伸び、元に戻る力が強いため、タイヤやゴム手袋などに多く利用されています。また、振動吸収性やグリップ力にも優れていることから、自動車部品や機械製品にも多用されます。

ただし、天然ゴムには劣化しやすいという弱点があります。特に高温多湿や紫外線の影響を受けやすく、時間の経過とともに硬化やひび割れが起こることがあります。また、化学薬品や油への耐性も低いため、使用環境によっては注意が必要です。

一方、合成ゴムは、目的に応じて分子構造を自由に設計できるという大きなメリットがあります。例えば、NBRは耐油性に優れ、EPDMは耐熱性や耐候性が高いなど、それぞれが異なる性能を持っています。さらに、合成ゴムは一般的に天然ゴムよりも劣化に強く、安定性が高いとされています。

このように、天然ゴムは「しなやかさ」と「自然の強さ」、合成ゴムは「目的別の機能性」と「耐久性」に特化しているのです。

劣化や安定性に関する違い

ゴム製品の寿命や性能の安定性を左右するのが、「劣化しやすさ」と「環境への耐性」です。この点においても、天然ゴムと合成ゴムは異なる性質を持っています。

天然ゴムの劣化特性

酸化や紫外線に弱く、屋外での使用に不向きな場合も

高温環境では分子構造が崩れ、硬化や粘着性の低下が起きる

オゾンや油分にさらされると、クラック(割れ)が発生しやすい

長期保存には向かず、一定期間での交換が推奨される

合成ゴムの安定性

EPDMやシリコーン系ゴムは、耐候性・耐オゾン性が非常に高い

NBRはオイル環境でも性能を維持し、長寿命を実現

化学薬品や高温にも強く、工業製品に最適

合成ゴムは、使用環境に応じて最適な種類を選べるというのが最大の強みです。たとえば、高温多湿な場所で使用するならEPDM、油に触れる環境ではNBRというように、選択肢が豊富。結果として、製品の長寿命化や保守コストの削減につながるのです。

つまり、天然ゴムは「優れた性能を短期的に発揮する素材」、合成ゴムは「安定した性能を長期間保つ素材」と言えるでしょう。

用途から見るゴム製品の使い分け

天然ゴムと合成ゴムは、それぞれの特性に応じて、使用される分野や製品が異なります。私たちの身の回りにある多くのゴム製品は、実はその用途によって素材の選定が綿密に行われているのです。

まず、天然ゴムはその高い弾性と柔らかさ、そしてグリップ性を活かして、次のような製品に使用されています。

・自動車のタイヤ(特にトラックやバスなどの大型車両)

・テックス手袋や医療用チューブ

・接着剤やマット類、クッション材

・スポーツ用品(ラケットのグリップやボールなど)

天然ゴムは振動吸収性にも優れているため、機械の防振ゴムや耐衝撃部品としても活躍しています。ただし、高温や油・薬品にはやや弱いため、厳しい環境での使用には注意が必要です。

一方、合成ゴムは、特定の環境や目的に適した種類が選べることが大きな強み。用途に応じて性能が最適化されているため、以下のような場面で重宝されています。

・エンジンまわりのホースやシール材(EPDM・シリコーン系)

・工場で使われる耐油・耐熱パッキンやガスケット(NBR

・耐摩耗性が求められる工業用ベルト・ローラー

・耐候性の必要な屋外電線や建築資材の部品

合成ゴムは多様なニーズに応える柔軟性があり、工業製品や機械装置にとって欠かせない存在。そのため、近年では自動車業界を中心に、合成ゴムの使用量が増加する傾向にあります。

産業部品から日用品までの応用例

ゴムは、実に幅広い分野で使用されています。以下のように、用途によって素材が使い分けられていることがわかります。

【産業・機械系の部品】

・防振部品(エンジンマウント、機械の脚部):天然ゴム

・耐熱ホースやシーリング材EPDMやシリコーンゴム

・油用パッキン、シール部品NBRHNBR

【日用品・医療・生活用品】

・台所用ゴム手袋、医療チューブ:天然ゴム(ラテックス)

・ベビー用品(おしゃぶりなど):安全性の高いシリコーン系

・靴底、マット、スポーツ用品:用途に応じて天然・合成を使い分け

【自動車分野】

タイヤ:トレッド部に合成ゴム、内部層に天然ゴムを組み合わせ

ドア周りのシール材EPDMで耐候性を確保

エンジン周辺のゴムチューブ:耐熱・耐油性能が必要なためNBR使用

こうした製品には、「どのような環境で使われるか」「どのような性能が必要か」という観点から、最も適したゴムが選ばれています。

つまり、「多様な環境に対応できる合成ゴム」と「しなやかで自然由来の天然ゴム」は、まさに使い分けることで互いを補完しているのです。

種類と代表的なゴム素材の紹介

ゴムにはさまざまな種類があり、それぞれが異なる特性と用途を持っています。ここでは、天然ゴム(NR)を含め、代表的なゴム素材をわかりやすく分類してご紹介します。

天然ゴム(NRNatural Rubber

天然ゴムは、ゴムの木の樹液(ラテックス)から採れる自然素材です。高い弾性や引張強度が特徴で、加工もしやすく、コストも比較的安価。タイヤや防振材、医療製品など、幅広い分野で活躍しています。

ただし、熱やオゾン、油に対しては弱く、劣化しやすいという側面も。そのため、使用環境によっては合成ゴムとの使い分けが必要になります。

合成ゴムの主な種類と特徴

ゴムの種類

主な特性

主な用途

SBR(スチレン・ブタジエンゴム)

耐摩耗性、低コスト

タイヤ、靴底、パッキン

NBR(ニトリルゴム)

耐油性、耐摩耗性

燃料ホース、Oリング、ガスケット

EPDM(エチレン・プロピレンジエンゴム)

耐候性、耐熱性、耐オゾン性

自動車部品、屋外ケーブル、シール材

CR(クロロプレンゴム)

難燃性、耐候性

工業用ベルト、電線被覆、ウェットスーツ

シリコーンゴム(VMQ

耐熱性、安全性、柔軟性

医療機器、食品機器、ベビー用品

合成ゴムは、「何に使うか」に応じて最適な種類が選べるのが強み。例えば、高温下での使用にはシリコーンゴム、油に触れる環境ではNBRが選ばれる傾向にあります。

また、製造時の分子構造設計により、必要な特性(耐熱、耐薬品、耐久性など)を持たせることができるため、工業用途における需要が非常に高まっています。

NRを含む主要なゴムの分類と化学的特性

ゴムは大きく分けて「天然ゴム(NR)」と「合成ゴム」に分類されますが、それぞれの化学的な性質を理解することで、より適切な使用が可能になります。

【天然ゴム(NR)】

・主成分:ポリイソプレン

・分子構造cis-1,4-ポリイソプレン構造により高い弾力性を持つ

・性質:引張強度・弾性・伸びに優れるが、酸化・熱・オゾンには弱い

・加工性:加硫処理により、弾性や強度がさらに向上する

【代表的な合成ゴム】

NBR:アクリロニトリルとブタジエンの共重合。耐油・耐磨耗に優れる

EPDM:非極性構造で耐候性・耐熱性に優れ、水や酸にも強い

SBR:スチレンとブタジエンの共重合体。安定した性質とコストの低さが特徴

・シリコーンゴムSi-O結合を持つ独特の構造。耐熱性・安全性に特化

このように、化学構造の違いが、それぞれの機能性の違いにつながっているのです。

ゴム製品の持続可能性と環境への影響

現代社会では、持続可能な資源利用や環境保全の視点から、ゴム製品にも環境負荷の低減が求められています。天然ゴムと合成ゴムは、その原料の違いが環境面で大きな影響をもたらすことがあります。

まず、天然ゴムは「再生可能な資源」として注目されています。ゴムの木から樹液(ラテックス)を採取する際、木を伐採せずに長期間使用できる点が特徴的です。さらに、ゴムの木はCO₂を吸収するため、森林の機能としても環境に貢献しています。ただし、大規模なゴムプランテーションの拡大は、生物多様性の損失や土地利用の問題を引き起こす可能性も。つまり、「自然素材=完全に環境にやさしい」とは限らないのです。

一方、合成ゴムは石油資源に依存しているため、資源枯渇やCO₂排出といった問題が避けられません。合成ゴムの製造プロセスには高温処理や化学薬品が必要であり、その過程で発生するエネルギーや排出ガスが環境への負担となる場合もあります。

しかし、近年ではバイオベースの合成ゴムや、リサイクル可能なゴム製品の開発も進んでおり、少しずつ環境への配慮が取り入れられています。たとえば、使用済みタイヤから再利用素材を取り出し、新たなゴム製品に活用する取り組みも広がりつつあります。

資源の違いや環境配慮型の加工方法

天然ゴムと合成ゴムは、資源の出どころだけでなく、加工方法にも環境への違いがあります。

【天然ゴム】

・資源:ゴムの木の樹液。再生可能。

・採取方法:伐採せず、長期間にわたり樹液を採取可能。

・加工工程:凝固・乾燥・加硫など、比較的単純な工程。

・環境配慮:プランテーション管理や森林保護とのバランスが重要。

【合成ゴム】

・資源:石油由来の化学物質(ナフサなど)。枯渇性資源。

・製造方法:高エネルギー消費の化学合成プロセス。

・環境対応技術:バイオマス由来モノマー、CO₂削減型製造技術など。

・再利用:使用済製品からのマテリアルリサイクル熱回収が進行中。

また、ゴム製品の廃棄問題も見逃せません。天然ゴム・合成ゴムともに、土中での分解には非常に長い年月がかかるため、循環型社会の構築が求められています。

現在、企業や研究機関では「環境配慮型のゴム材料」の開発が加速。持続可能性と性能の両立が、次世代のゴム製品に求められるキーワードとなっているのです。

どちらを選ぶべきか?メリット・デメリットで比較

天然ゴムと合成ゴムの違いを理解したうえで、実際に「どちらを選ぶべきか」は、目的や使用環境によって判断することが大切です。ここでは、それぞれのメリットとデメリットを比較し、選定のポイントを整理します。

天然ゴムのメリット・デメリット

メリット

高い弾力性と伸びを持つ

優れたグリップ力、防振性

自然由来の素材で、生分解性も一部あり

医療や食品分野でも安全性が高い

デメリット

熱・オゾン・油に弱く、劣化しやすい

耐久性が劣る場合もあり、長期使用には向かないことがある

生産が天候や地域情勢に左右されやすい

合成ゴムのメリット・デメリット

メリット

用途に応じて、必要な特性を設計できる

高い耐油性・耐熱性・耐摩耗性を持つものが多い

一定の品質で安定した大量生産が可能

高温・薬品など過酷な環境でも使える

デメリット

原料が石油由来で、環境負荷が大きい

製造にエネルギーコストがかかる

生分解性が乏しく、廃棄・リサイクルの課題がある

両者の違いを一言でまとめると、天然ゴムは「自然な強さと柔らかさ」、合成ゴムは「機能性と耐久性」と表現できます。

用途や目的に応じた最適な選び方

では、実際にどちらを選ぶべきか。判断のカギは使用条件目的にあります。

【天然ゴムを選ぶべきケース】

・柔軟性や弾性を最重視したいとき

・医療・衛生用品に使いたい場合(ラテックス手袋など)

・一定期間のみの使用で、コストを抑えたい場合

・自然素材へのこだわりがある方

【合成ゴムを選ぶべきケース】

・高温・高圧・油分のある環境での使用が想定されるとき

・耐久性と長寿命が求められる製品(自動車部品、機械装置など)

・高性能が必要な産業用途

・一定の品質で安定供給が必要な場合

また、最近では両者を組み合わせた製品も増えています。たとえば、タイヤでは外側のグリップ部分に天然ゴムを、内部の構造材には合成ゴムを使うなど、ハイブリッドな使い方も一般的です。

つまり、「どちらが優れているか」ではなく、「どの場面で活かせるか」が重要。目的に合った素材選びが、製品の性能や寿命に大きく関わってくるのです。

記事のまとめ

天然ゴムと合成ゴム。
一見似たように見えるこの2つの素材には、原料・特性・用途・環境への影響に至るまで、実に多くの違いが存在します。

天然ゴムは、自然の恵みから生まれた柔らかで弾力のある素材。高い伸びとグリップ性を活かして、タイヤや医療品など幅広く活用されています。一方で、耐熱性や耐油性には弱く、劣化しやすいという課題も抱えています。

それに対し、合成ゴムは、石油由来の化学製品として登場し、特定の目的に合わせた性能設計が可能。耐久性や安定性、加工のしやすさを武器に、工業製品や自動車部品といった多くの場面で利用されています。

また、両者は環境への影響という面でも重要な検討ポイントを持っています。天然ゴムは再生可能な素材である一方、合成ゴムは資源枯渇やCO₂排出の問題を抱えているため、持続可能な開発が今後ますます求められていくでしょう。

では、どちらを選ぶべきか?

それは、「どのような場面で」「何を求めて」使うのかによって変わります。どちらが優れているというよりは、目的に合わせて適材適所で使い分けることが最も大切なのです。